1. HOME
  2. ブログ
  3. 第45回― 縁を結ぶ滝の宮不動尊

第45回― 縁を結ぶ滝の宮不動尊

嫁不足を解消したパワースポット――
「画像提供:八女市」

 横町町家交流館のある八女福島地区は、江戸時代からの白壁の町並みが残る「伝統的建造物群保存地区」です。この地区から東に20キロほど離れた上陽町の納又地区には、かつて嫁不足で困っていた住民たちを助けた「不動尊」が祭られています。

 今回は縁結びのパワースポットとして全国的に知られている「滝の宮不動尊」をご紹介します。

『自然と不動尊がつくる神秘的空間』

■親王をしのぶ思いから良縁祈願に

 「滝の宮不動尊」は、八女市上陽町上横山内納又地区にあります。県の森林百選に選ばれた豊かな自然の中にたたずむ鳥居をくぐり、木々に覆われた石段の参道を進むと、滝の音が聞こえる神秘的な空間が広がります。そこに、18メートルの落差がある納又滝が現れ、そのそばに人間の背丈ほどの不動尊が祭られていました(過去の災害の影響で現在不動尊の設置場所は変わっています)。

 不動尊信仰の始まりは、南北朝時代にさかのぼります。当時、九州を制覇した懐良親王は1374(文中3)年10月17日に、本営と定めていた高良山城(現久留米市)を今川の軍に攻められ、同年12月10日に納又地区に逃げ込みました。その後この地で長く療養されたことから「滝の宮」という名前が付き、親王がご逝去されると、人徳をしのんだ地元の人たちが滝のそばに不動尊を建て、多くの人が参拝に訪れていました。

 石像の不動尊は、今では「縁結びの不動尊」として多くの人に知られていますが、その由来は地域に伝わる伝承にあります。第2次世界大戦前には周囲で修行を行う修験者がいたほどでした。しかし戦後になると修行が行われず荒れてしまったそう。そこに納又地区の若者の嫁不足という深刻な悩みが重なったのが1980年代のことです。そこで、不動尊に良縁を願いつつ、歩道やトイレなどの整備や清掃を行うと、作業に参加した24人の内23人が見事に結婚することができた、といわれています。

■周囲に広がる四季折々の風景

  縁をつなぐ言い伝えが広がり、「滝の宮不動尊」は縁結びの神様として八女市でも有名なパワースポットとなりました。もともとは病気の治療に御利益があるとされていましたが、縁結びから始まり、子育てにもよいといわれるようになり、近くには10体以上の地蔵が並んでいます。

「画像提供:八女市」

 縁結びとしての「滝の宮不動尊」の魅力は、御利益だけではありません。周辺には樹齢数百年の原生林が生い茂り、四季折々の風景を楽しむことができます。夏は深い緑と涼しげな滝のしぶき、秋には真っ赤に染まる紅葉、冬には澄み切った空気が訪れる人々を包み込みます。滝の流れる音と風で揺れる木々のざわめきが心を落ち着かせ、癒やしを与えてくれます。

 また、毎月28日は不動尊の前で縁日が行われ、地元の人たちに親しまれています。古くから地域の人たちが集まり、信仰を受け継いできたこの場所は、今も多くの人の心のよりどころになっています。

 納又地区は当館から車で30分ほどの場所に位置しています。納又滝へと向かう道中には石仏が、滝を少し登った先には「子育て女王」と呼ばれる石像が祭られたほこらがあります。清涼感に包まれた空間で、縁結びや子どもの健やかな成長をゆっくり願いながら過ごしてみてはいかがでしょうか。

■次回予告

 次回は八女市出身の洋画家、田崎廣助についてご紹介します。

関連記事

おすすめ記事