第49回― 八女福島の燈籠人形


横町町家交流館のある八女福島地区は、江戸時代からの白壁の町並みが残る「伝統的建造物群保存地区」です。その中心に鎮座する福島八幡宮では、毎年秋に八女を代表する伝統芸能「燈籠人形」が公演されます。約280年に渡り地域の人々によって受け継がれ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
今回は八女福島が誇る「燈籠人形」についてご紹介します。
『秋空を彩る華やかな物語』 ■町民の知恵と技が生んだ伝統「燈籠人形」芝居が上演される福島八幡宮は、古くから八女福島地区の人々に親しまれてきました。毎年9月に行われる放生会(ほうじょうえ)の奉納行事として、八女の秋を代表する風物詩となっています。
その始まりは1744(延享元)年ごろとされ、福島の町人たちが熊本県山鹿の大宮神社からもらい受けた燈籠に工夫を凝らしたことが由来と伝えられています。当時大阪方面で発展していた人形浄瑠璃の技術を取り入れながら独自の発展を遂げ、現在の燈籠人形の形が築かれました。以来、約280年にわたり地域に継承され、八女の歴史と文化を象徴する伝統芸能として楽しまれてきました。

舞台となるのは、くぎを一本も使わずに組み上げられる3層2階建ての豪華絢爛(けんらん)な屋台です。舞台を彩る金箔(きんぱく)や漆は、現在の「八女福島仏壇」に通じる高度な職人技が生かされ、明かりをともす「八女提灯」は八女産の竹と和ろうそく、和紙を用いて作られています。八女の文化が詰まった舞台の上では、三味線や太鼓のおはやしに合わせてからくり人形たちが躍動し、華やかな物語の世界を繰り広げます。
■地域が守り続ける文化財八女福島の燈籠人形は、1977(昭和52)年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。人形の操作技術や曲、舞台づくりなどは地域の保存会によって継承され、今日まで大切に守り続けられてきました。江戸時代から続く町衆文化の結晶として、その価値は全国的にも高く評価されています。
また、公演に向けて多くの地域住民が準備や設営に携わり、世代を超えて伝統が受け継がれています。人形の操作やおはやし、舞台の組み立てなどに携わる人々の姿からは、地域に伝わる文化への誇りを感じることができます。

夕暮れの境内に浮かび上がる豪華な舞台と、生きているかのように動くからくり人形の姿は幻想的です。人形が橋を渡る動きや鮮やかな衣装の早着替えなど、見る人を驚かせる演出の数々は燈籠人形ならではの見どころです。八女福島の歴史ある町並みと伝統芸能が一体となって生み出す特別な空間は、多くの観客を魅了しています

当館から会場の福島八幡宮は、徒歩数分の場所に位置しています。今年の燈籠人形は9月20日(日)午後8時から口開け公演が行われ、21日から23日まで本公演(1日5回公演:13時半/15時/16時半/19時/20時半)が開催されます。今年の芸題は「薩摩隼人国若丸厳島神社詣(さつまはやとくにわかまるいつくしまじんじゃもうで)」です。秋の訪れを感じながら、伝統の技と文化に触れてみてはいかがでしょうか。
■次回予告次回は星野村の「風流・はんや舞」が奉納される麻生神社についてご紹介します。





