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第48回― 星野村が誇る「風流・はんや舞」

800年以上の歴史を今に刻む――
「八女市提供」

 横町町家交流館のある八女福島地区は、江戸時代からの白壁の町並みが残る「伝統的建造物群保存地区」です。この地区から車で40分ほどの、豊かな自然と美しい星空、お茶の里として知られる星野村には、古くから受け継がれている舞楽「風流・はんや舞」があります。毎年9月に星野村「星のふるさと公園」内の麻生神社で奉納されるこの舞は、福岡県無形民俗文化財・国選択無形民俗文化財に指定されています。

 今回は地域の人々によって大切に守られ、星野村が誇る伝統芸能「風流・はんや舞」をご紹介します。

『霊地に響く祈りの舞』

■信仰と芸能文化から始まった伝統

 「風流・はんや舞」が奉納される麻生神社は、「星のふるさと公園」の中にある天然湖「麻生池」のほとりに鎮座しています。標高310メートルに位置し周囲約700メートルあるこの池では、弥生時代から始まったとされる水神崇拝により霊地として信仰を集め、雨乞いや晴雨祈願、風止めの祭りが行われてきました。その祭礼の中で継承されてきたのが「風流・はんや舞」です。

 その起源は詳しくは分かっていませんが、水神信仰に由来する祭礼と、平安時代に生まれた公家文化の流れをくむ舞が取り入れられたものと考えられています。1222(貞応元)年に猫尾城主の黒木氏が「筑後星野御池社記」にこの舞を「国家安全と風雨無難を祈って、舞楽ならびに風流の神事をなした」と記していることが確認されています。800年以上にわたり地域の人々によって継承され、現在まで伝えられています。

「八女市提供」

 舞は「風流(打楽)」と「はんや舞(扇舞)」の二部で構成されています。先に奉納される「風流」は、赤や白に染めたヤクの尾の毛をかぶった舞手たちが太鼓やかねを鳴らしながら勇壮に舞うもので、祭りの華やかさと力強さを感じさせます。続いて披露される「はんや舞」は、裃(かみしも)姿の青年たちが白扇を手に向かい合い、「ハンヤ」という独特の掛け声を交えながら静かに舞います。豪快に踊る「風流」と優雅な「はんや舞」の対比が大きな見どころです。

■地域が守り続ける文化財

 昭和天皇即位に伴って1928(昭和3)年に執り行われた「昭和の大典(大嘗祭(だいじょうさい))」の際には、「風流・はんや舞」の歌が公式な神楽歌の原曲として宮内庁の雅楽官によって採択されました。その歴史的価値や芸術性の高さは全国的にも認められ、1976(昭和51)年には福岡県指定無形民俗文化財に、78(昭和53)年には国から記録作成などの措置を講ずべき無形の民俗文化財として選択されました。中世の芸能の特長を色濃く残す貴重な文化財として今日まで大切に受け継がれています。

 また、この舞は星野村の「下郷・横廻り・中通り・上郷」の四つの地区が持ち回りで奉納しており、住民が協力しながら伝統を守り続けています。周辺の子どもから大人までが参加し、世代を超えて受け継がれるその姿は、地域の強い結びつきを感じさせます。

「八女市提供」

 奉納の日に、山々に囲まれた静かな空間に太鼓の音が響き渡り、白扇が美しく舞う様子は、まるで時代をさかのぼったかのような情景です。星野村の自然と伝統芸能が一体となって生み出す独特の雰囲気は、多くの人を魅了しています。

 当館から会場の麻生神社までは車で30分ほどの場所に位置しています。周辺には茶の文化館や温泉施設などもあり、四季折々の自然も楽しむことができます。今年の「風流・はんや舞」は今月20日(日)9時半からです。秋の訪れを感じながら、星野村に受け継がれる祈りの舞に触れてみてはいかがでしょうか。

 「八女市提供」

■次回予告

 来週はいよいよ「八女福島の燈籠人形」の公演が行われます。

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